天災が多発する日本。災害への対策は、インバウンド対策においても不可欠で重要な課題です。地震・台風・火山など日本で直面する自然災害は、その時たまたま日本を訪れた外国人観光客にとって未知の体験だからです。

2018年のように多くの自然災害が発生した年には、行き場を失い右往左往している訪日外国人客をニュースで見かけました。

訪日外国人客にとって、日本の自然災害が報道されるたびに不安材料となり、観光地への足が遠のいてしまう可能性もあります。

今回は、訪日外国人客が日本滞在時に災害に遭遇した際の対策について紹介していきます。

災害時に役立つガイドライン・アプリ

観光庁では、2013年に「災害時における訪日外国人旅行者への情報提供のあり方に関するワーキンググループ」を設置して、自治体や観光施設の方々等の関係者からの意見を幅広く聴取し、議論を重ねてきました。

その成果として、

①観光・宿泊施設向け
自然災害発生時の訪日外国人旅行者への初動対応マニュアル策定ガイドライン」の策定

②自治体向け
訪日外国人旅行者の安全確保のための手引き」の策定

③一般向け
外国人旅行者向けプッシュ型情報発信アプリ「Safety tips」の提供

をすることになりました。それぞれについて説明していきます。

(1)観光・宿泊施設向け「自然災害発生時の訪日外国人旅行者への初動対応マニュアル策定ガイドライン」

これは、事前に読んでおきたいガイドラインです。 地 震・津波、風水害・火山噴火等を想定し、下記4点についてのガイドラインを示しています。

  • 訪日外国人旅行者に関する基礎知識
  • 訪日外国人旅行者に対する初動対応内容
  • 平常時から取り組むべき準備
  • 訪日外国人旅行者への情報提供の仕方

自然災害発生時の訪日外国人旅行者への初動対応マニュアル策定ガイドライン(PDF)」

(2)自治体向け「訪日外国人旅行者の安全確保のための手引き」

この手引きは、地域防災計画等に訪日外国人旅行者への対応を記載するための指針として策定されたものです。

災害時の訪日外国人旅行者の安全確保の枠組み、役割などについて基本的な内容を定めており、観光地などの各地域における話し合い、自治体の地域防災計画などの参考として活用できます。

訪日外国人旅行者の安全確保のための手引き(PDF)

(3)外国人旅行者向けプッシュ型情報発信アプリ「Safety tips」

このアプリには、訪日外国人客および在住している外国人が災害時に役立つ様々な機能が入っています。

  • 日本国内における緊急地震速報及び津波警報を英語で通知するプッシュ型情報発信アプリ
  • 周囲の状況に照らした避難行動を英語で示した避難フローチャート
  • 周りの人から情報を取るためコミュニケーションカード
  • 災害時に必要な情報を収集できるHPリンク集

〇提供OS:Android 4.0以降/iOS7.0以降

〇ダウンロードURL:
Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.rcsc.safetyTips.android
iPhone:https://itunes.apple.com/jp/app/safety-tips/id858357174?mt=8

2016年の熊本震災の際、多くの外国人から災害時のマニュアルが欲しかったという声が上がっていました。

また、地震が起こった後の対応についても日本語が分からない外国人は、テレビ・ラジオ・SNSから得られる情報量に大きな差が出てしまいます。

災害に対する対策や準備はもちろん、それに加えて今後増える見込みの外国人向けのナレーションやマニュアルなどの情報発信の拡大、さらには国内で直面する災害のリスクや対処の方法なども開示して安心感を与えなければなりません。

参照:観光庁「自然災害発生時の訪日外国人旅行者への初動対応マニュアル策定ガイドライン(PDF)」、「 ガイドラインの活用方法について(PDF) 」、「災害時における訪日外国人旅行者への情報提供について」(2014年)

災害時の情報入手手段は、さらに多重化

日本国内で自然災害が相次いで発生している状況を踏まえ、観光庁では災害などの非常時に訪日外国人客が安心して旅行できるよう、訪日外国人客の情報入手手段の多重化を図っています。

たとえば、災害など非常時の問い合わせが集中する際には、JNTO(日本政府観光局)によるコールセンター「Japan Visitor Hotline」の自動音声案内機能及びチャットボット機能で対応しています。

(コールセンターおよび自動音声案内は、日・英・中・韓の4言語で対応。チャットボットは、英・中・韓の3言語で対応。2019年3月29日より稼働)

これにより、非常時における訪日外国人客への情報提供をさらに強化しています。

参照: 観光庁「訪日客向け災害情報発信フロー図」「非常時の外国人旅行者の安全・安心確保のための緊急対策の概要」

また、JNTOの訪日外国人旅行者向けのアプリ「Japan Official Travel APP」と先述の災害情報提供アプリ「Safety tips」の機能を統合。災害時に役立つ情報ツールや避難場所の取得機能を付加するなど、災害時ガイダンス機能を強化しています。(2019年3月26日機能改修)

過去記事

【使ってみた】外国人旅行者向け災害時情報提供アプリ「Safety tips」

【スマホでできる】訪日外国人向けの多言語での災害情報

引用元:JNTO「JNTO公式スマートフォンアプリ「Japan Official Travel App」の災害情報プッシュ通知機能を拡充
引用元:JNTO「JNTO公式スマートフォンアプリ「Japan Official Travel App」の災害情報プッシュ通知機能を拡充

災害等の非常時には、上記のほか、緊急対策を受けてこれまでに整備されてきたJNTOのグローバルサイトやTwitter災害情報アカウント「Japan Safe Travel」に加え、国内1,000箇所を超える「認定外国人観光案内所」や海外事務所のネットワークを活用して、総合的な情報提供を実施する予定になっています。

出展:JNTO「JNTO認定外国人観光案内所」一覧「ウェブサイトやSNSを通じた訪日観光情報の提供」

まとめ

今後も訪日外国人客を誘致していくのであれば、日本での滞在を安心・安全なものにするためにも、外国人に分かりやすく、しかも多言語での(英語だけではなく)自然災害時の対応を進めなくてはなりません。

2020年にオリンピックを控え、近年これほど多くの訪日外国人観光客を受け入れたことのない日本では、課題が山積みです。

日本人だけで集まり、課題や対策を検討するのではなく、積極的に外国人とコミュニケーションを図ることが重要だと言えるでしょう。

今回紹介しました「訪日外国人客対策マニュアル」「災害時に役立つ情報ツール」を準備するにあたり、訪日外国人客に案内できる多言語ツールの制作をご検討されている方は、是非、弊社にご相談ください。

インバウンドらぼ 編集メンバー M.N