2018年の訪日外国人数は、前年比8.7%増の3,119万人で、過去最高になりました。また、6年連続で過去最高を更新し、2020年に4,000万人達成という目標に向けて、堅調に推移しています。

これは、観光が地方創生の切り札であり、日本の成長戦略の柱と位置付けた、ビザの緩和や、交通ネットワークの充実、多言語対応などの受け入れ態勢の環境整備などの成果だと思われます。

今回は、各地方の動向と、観光振興の取り組みについて、2019年版観光白書より抜粋してご紹介します。

参照元:国土交通省「平成30年度 観光の状況 令和元年度 観光施策 要旨」

地方別インバウンドの延べ宿泊者数の動向

2019年の訪日外国人延べ宿泊者数は、8,859万人泊と、前年比11.2%増になりました。関東地方が、最多の3,152万人泊で、次に近畿地方が2,214万人泊でした。

九州地方と中部地方以外の8地方では、2011年以降、毎年増加を続けています。

2019年に前年比で最も訪日外国人延べ宿泊者数*が伸びたのは東北地方で、前年比34.7%増でした。次に中国地方が21.6%増で、中部地方が18.0%増と続いています。

それ以外の地方でも、すべて訪日外国人延べ宿泊者数は増加しており、全体では11.2%増となっています。

*延べ宿泊者数とは、連泊もカウントした数字です。例えば、1人が3泊すれば、3とカウントされます。

地方ごとのインバウンドの動向と取り組み

各地方の2018年度のインバウンドの動向と、インバウンド誘致や観光地域振興の取り組みについて、ご紹介します。

1. 北海道

動向

外国人延べ宿泊者数は、地震の影響により9~11月は大きく減少したものの、国際航空便の新規就航・増便により、年間としては増加しました。特に、インドネシアからの伸び率が顕著でした。

また、ふっこう割や日本政府観光局によるプロモーション等の「元気です 北海道/Welcome! HOKKAIDO, Japan.」キャンペーンの効果等により、外国人延べ宿泊者数は、持ち直しました。

取り組み

スマートフォン決済(アリペイ、ウィーチャットペイ)の導入
〇アドベンチャートラベル人材育成に係る取組
大規模地震等に備えた訪日外国人旅行者への情報集約・提供方法に関する実証事業

2. 東北

動向

2020年に、東北6県の外国人延べ宿泊者数を150万人泊とする目標を掲げ、地方公共団体、観光関係機関等と連携し、東北一体のプロモーション等の取組を推進してきたこと。また、各空港への国際航空路線増加等もあり、東北6県の外国人延べ宿泊者数は100万人泊を超え、過去最高となりました。

東北の宿泊者数のうち約4割を占める台湾は、前年に引き続き好調でした。前年比ではシンガポール、マレーシアおよびベトナムの伸び率が大きくなる一方、韓国は伸び悩んでいます。

取り組み

「東北観光復興対策交付金」を活用した観光復興
東北ファンの獲得に向けた新たな魅力の発信

3. 関東

動向

首都圏空港(羽田・成田)、茨城空港における国際航空便の新規就航や、増便の効果によって、関東全体の外国人延べ宿泊者数が増加しました。

特に、千葉県、山梨県等においてインド、ベトナム等アジアからの伸び率が顕著でした。また、2018年に多く発生した、自然災害については影響が少なく、外国人延べ宿泊者数は増加傾向でした。

取り組み

ラグビーワールドカップ 2019 日本大会関連観光プロモーション事業
関東観光まちづくりコンサルティング事業

4. 北陸信越

■動向

国際空港便の増便や、LCCの新規就航もあり、台湾・中国からの外国人延べ宿泊者数が増えました。

また、 「グランド・サークル・プロジェクト」 (北陸新幹線沿線地方公共団体等と連携したプロモーション)の効果もあり、東・東南アジアに加え、欧米からの外国人延べ宿泊者数も増え、過去最高となりました。

□取り組み

アドベンチャートラベルによるインバウンド需要の拡大
災害時の外国人観光客対応セミナーの開催

5. 中部

■動向

中部国際空港における国際航空便の新規就航や、増便による効果により、外国人延べ宿泊者数が増加しました。

また、地方公共団体、観光関係機関等と連携した「昇龍道プロジェクト」の取組の推進も効果的でした。特にタイおよび中国からの伸びが大きく、延べ宿泊者数全体も増加しました。

□取り組み

「中部の観光は元気です!」発信プロジェクト
多言語コミュニケーションをテーマに受入環境整備分科会の開催
アクセス改善のための実証事業を実施

6. 近畿

■動向

2018年は、地震、豪雨、台風等の相次ぐ災害にみまわれました。特に、台風第21号発生に伴う関西国際空港の被災による、航空便の長期間にわたる欠航の影響が大きく、一時期、外国人延べ宿泊者数が大幅に減少しました。

しかし、関西国際空港の早期復旧、および東南アジア、中国路線の新規就航や増便等により、外国人延べ宿泊者数は昨年を上回る数字となりました。

□取り組み

「関西ツーリズムグランドデザイン 2021」を策定
「快適に観光できる度合」を見える化

7. 中国

■動向

「平成30年7月豪雨」や、度重なる台風の影響が懸念されましたが、外国人延べ宿泊者数については、災害の影響はあまりなかったようです。

2017年10月から、広島空港にシンガポール便が新たに就航し、欧米豪からの宿泊者数が増加した事で、初めて200万人泊を突破しました。

□取り組み

米子の街に灯りをともすプロジェクト
平成 30 年7月豪雨の風評払拭、観光客の回復に向けた情報発信活動

8. 四国

■動向

上海~高松間の国際定期航空路線の増便や、台湾からのチャーター便の運航等により、外国人延べ宿泊者数が増加しました。

中でも、中国、台湾および香港からの旅行者が増加しました。

□取り組み

四国八十八景プロジェクト
訪日外国人旅行者の周遊動態・趣向分析調査事業

9. 九州

■動向

外国人延べ宿泊者数は、九州全体で2.1%と微増でした。北部九州の各県(福岡、佐賀、長崎および大分)で伸び悩みました。

しかしながら、熊本県ではLCCの新規就航や増便等の影響によって、香港からの宿泊者が増加しました。また、南九州3県(熊本、宮崎および鹿児島)では、韓国からの宿泊者が大幅に増加しました。

□取り組み

ラグビーW杯を契機とした欧米豪からの誘客促進に向けた九州運輸局の取組

10. 沖縄

■動向

麻しんや台風等の自然災害の影響はあったものの、外国人延べ宿泊者数は、前年を上回りました。

これは、訪日旅行人気が継続していることに加え、沖縄発着航空路線の新規就航、既存路線の増便があったことが影響しています。

□取り組み

○泡盛の酒蔵における訪日外国人旅行者受入体制整備モデルケース形成事業

まとめ

いかがでしたか。2018年は自然災害も多く、訪日外国人客の低迷が予想されましたが、3,119万人と、過去最高になりました。地方によっては様々な事情により、訪日外国人客の増加数に違いがあるようです。

各地方におけるインバウンド向け観光振興の取り組みについては、次回、詳細な内容をお伝えしたいと思います。

インバウンドらぼ 編集メンバー H.M