訪日外国人の急増に伴い、タクシー需要も増大しています。多くの乗客や大きな荷物を載せることができるワンボックス型タクシーや、多言語に対応できるタクシーの導入など、対応は進められていますが、まだまだ十分な受け入れ態勢が整っているとは言えないのが現状です。
その原因は、タクシー事業者が、訪日外国人のタクシー利用の実態や、ニーズについて十分把握できていない事と考えられます。それに伴い国土交通省関東運輸局は、訪日外国人のタクシー利用に関する、実態調査および実証実験を行いました。 今回、実態調査の概要をお伝えいたします。
参照元:国土交通省地方運輸局「訪日外国人向けタクシーサービスの利用促進に関する調査及び実証事業」報告書(PDF)
実態調査の内容
実態調査は、羽田空港の国際線ターミナルで行われました。帰国直前の英語圏・中国語圏の旅行者を対象として、タクシー利用の有無・理由や利用価格などを調査し、タクシー利用の特性を国籍・地域別、年代別などで分析しています。
タクシー利用の有無についてのアンケート結果

タクシー利用については、利用した人が全体の46.5%で、半分近くの訪日外国人がタクシーを利用していました。中でも米国からの渡航者は、61.1%も利用しており、タクシーを日常的に利用していることが分かりました。台湾や香港からの渡航者の利用率は、それぞれ37.2%、38.9%と、全体に比べると少し低くなっています。
年齢別タクシーの利用率は、50代以上が51.3%と高く、年代が下がる程、利用率は低くなっています。
タクシー利用の行動経路

タクシー利用時の行動経路の調査では、スポットからスポットへの移動が一番多く、全体の35.5%とという結果でした。乗降する場所は、新宿が1番多く、次に銀座、渋谷の順でした。
スポットの移動以外の利用場所は、主に空港、ホテル、駅間の移動に利用されていました。
タクシーを利用しない理由

タクシーを利用しない理由の一番は、「利用する必要を感じない」でした。公共交通機関が充実しているのが一因かも知れませんね。二番目の理由は、「値段が高い」でした。日本のタクシー料金は、外国に比べ、割高と言われています。
そこで東京では、2017年1月31日から、タクシーの初乗り料金が410円に改定されました。利用の拡大につながる材料になるといいですね。
「値段が高い」と答えた率が19.0%と最低だったのは、利用率が一番高かった米国人でした。値段が適正に感じられれば、利用への抵抗も少なくなるのではないでしょうか。
年齢別でも、「値段が高い」と答えた率は50代以上が一番低く、利用率の高さとリンクしています。 意外だったのは、「運転手の対応が不十分」の項目で、3.3%とかなり低い回答率になっています。日本人が思っているほど、運転者の対応に不安を感じていないようです。
タクシーの利用回数

旅行中のタクシー利用回数は、全体の平均で3.40回と多く、一度利用した人は、複数回利用する傾向が高いのが分かります。タクシーの利用率が低かった、香港からの渡航者の利用回数が、4.43回と米国からの渡航者よりも多いのは興味深いですね。
年齢別の利用回数では、他のアンケート結果と比べて、大きな差は出ませんでした。
タクシーの利用料金

タクシーの利用料金は、5,001円以上が36.8%と、一番高い比率になりました。この利用料金ですと、羽田空港とホテル間の移動に利用されることが多かったと考えられます。
また、2,000円以下の利用では、スポット間の移動、2,000円以上は、駅とホテル間の移動に利用されたと思われます。
まとめ
いかがでしたか。日本人でも、日常的にタクシーを利用する人もいれば、ほとんど利用しない人もいると思います。旅先という理由はありますが、予想よりも訪日外国人はタクシーを利用しているな、と感じました。
東京オリンピックや大阪万博を控え、訪日外国人がタクシーを利用して良かったと思えるような、受け入れ態勢の整備を、さらに進めていってほしいと思います。
ちなみに、タクシーに置かれている広告で良く見られているのは、「座席前のチラシ」「ウインドウのステッカー」「液晶モニターの動画広告」だそうです。
もし、タクシーに乗る訪日外国人客に向けて、制作物のデザイン作成や多言語化がご入用でしたら、ぜひ弊社にお声掛けください。
インバウンドらぼ 編集メンバー H.M