訪日外国人客の増加に伴い、観光地の整備も進んでいて、訪日旅行は快適なものに変化しているのではないかと思います。しかし、日本に訪れている外国人旅行客が、今の日本のインバウンド受け入れに対する環境をどう感じているのでしょうか?

世界の人々が訪れたくなる日本を目指して…

観光庁が訪日外国人旅行者を対象に実施した、日本国内でのコミュニケーションなどに関するアンケート調査の結果をみてみましょう。

出典:観光庁「外国人旅行者ののほんの受け入れ環境に対する不便・不満」(PDF)

訪日外国人が旅行中に困ったことでは、公共交通の「フリーパスが充実していない」、両替・クレジットカード利用環境では「(中略)クレジットカード支払いを希望したが、利用できないところがあった」、「海外発行のクレジットカードが利用できるATMがどこにあるのかを見つけにくい」、飲食施設において「(中略)英語情報が不足している」という結果がでています。

外国人旅行者がカードで買い物をしたくてもできない、観光を楽しみたくても移動が不便、コミュニケーションツールの不足によるストレスの蓄積。これらの事は、お店にとって販売機会の損失になってしまいます。

日本ではカードが利用できる店舗でも少額の場合、利用を断る事がありますが、このような制限行為も販売機会の損失となるでしょう。

日本に訪れて困った事…

現在、訪日外国人旅行客が日本に滞在している際に抱えている不満はどんなものでしょうか。
観光庁による「訪日外国人旅行者の受入環境整備における 国内の多言語対応に関するアンケート」の結果を基に見ていきましょう。

出典:観光庁
訪日外国人旅行者の受入環境整備における 国内の多言語対応に関するアンケート」結果(PDF)

訪日外国人を対象に、日本の受け入れ環境に関する調査を実施した結果によると、旅行中に困ったことの最多は「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」(26.1%)。次いで、「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」(21.8%)、「無料公衆無線LAN環境」(21.2%)。「困ったことはなかった」(34.8%)でした。

多言語表示・コミュニケーションで困った場所は、飲食店(28.5%)が最多で、鉄道駅(17.4%)、小売店(16.2%)、城郭・神社・仏閣(9.8%)、宿泊施設(5.4%)でした。

コミュニケーションで困った事…


出典:観光庁
訪日外国人旅行者の受入環境整備における国内の多言語対応に関するアンケート」結果 (PDF)

「多言語表示・コミュニケーションで困った場面」では、城郭・神社・仏閣での「歴史・文化に関する説明を読む際」(68.4%)が最多。次いで、飲食店の「料理を選ぶ・注文する際」(65.8%)、鉄道駅での「今いる駅から目的地までの行き方を特定する際」(62.4%)。

宿泊施設では、「チェックインの際」(33.5%)、「日本独特のもの(大浴場等)の使用方法を尋ねる際」(32.4%)、「周辺の観光情報を尋ねる際」(29.5%)でした。

調査の結果からみると、「小売店では商品の内容や使い方を確認する際」、飲食店では「料理を注文する際」、多言語での表示や外国人旅行客とのコミュニケーションを図る上での外国語スキルの不足を指摘する内容が多かったです。

鉄道駅では「目的地への行き方を特定する際」、「城郭・神社・仏閣では歴史・文化の説明を読む際」、多言語表示の不足(ピクトを含む)や誤った翻訳の表示を指摘する内容でした。

補足 )【日本再興戦略】

日本再興戦略は、アベノミクスの「三本の矢」の「第三の矢」として日本経済再生本部によって名付けられた成長戦略。産業競争力の向上を目的とし、以下の3つのアクションプランによって構成されている。  

  • 日本産業再興プラン – 日本の産業再生と雇用創出を目指す。
  • 戦略市場創造プラン – 未来産業の育成を目指す。
  • 国際展開戦略 – 日本経済の国際化発展を支援する。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

まとめ

日本政府は観光立国推進基本法の規定に基づき、平成29年度に新たな「観光立国推進基本計画」と閣議決定されました。計画内容は2020年までに、1)国内旅行消費額を21兆円にする、2)訪日外国人旅行者数を4,000万人にする、3)訪日外国人旅行消費額を8兆円にするなどの目標を掲げています。

そのような中で、主要観光地における100%のキャッシュレス決済対応、決済端末のIC対応が「日本再興戦略」の新たな目標として加えられました。

政府の掲げる計画に対して、現場である観光地、商業施設などの環境整備が追い付いていないのがアンケートの結果からも読み取れます。2020年の東京オリンピックに向けて、観光市場の整備は消費機会の創出となるでしょう。

増え続ける訪日外国人客に対する環境の整備として飲食店、宿泊施設、公共機関、商業施設といった場所では、接客、案内、マナーといったさまざまな多言語対応ツールの作成とキャッシュレス決済システムの導入が、消費機会の損失を回避する手段になる。

インバウンドらぼ 編集メンバー M.N