皆さん、2003年に公開された『ラストサムライ』という映画はご存知でしょうか。明治時代の日本を舞台に「最後の侍たち」を描き、日本でも興行収入100億円を超えた大ヒット映画です。

では、この映画がどこで撮影されたかをご存知でしょうか。

実は、一部こそ日本で撮影されていますが、大部分はニュージーランドです。日本でしか撮影できない部分、そうでない部分があったことは想像できますが、「なぜ全部日本にしなかったの?」という疑問が湧いてきませんか。

『ラストサムライ』だけじゃない?

『ラストサムライ』以外にもこういった作品は数多くあります。例えば、『キル・ビル Vol.1』(2003年公開)は劇中で主人公が日本を訪れるシーンがありますが、該当部分はハリウッドのスタジオなどで撮影されています(一瞬だけ日本で撮影した場面もあるそうです)。また、江戸時代の日本が舞台の『沈黙-サイレンス-(2016年公開)』は、全編台湾で撮影されています。

ちなみに『キル・ビル Vol.1』の監督も『沈黙-サイレンス-』の監督も、日本で撮影することを希望していましたが、それができなかったため、上記の決断に至ったようです。

「日本で撮影したい」と言われているのに、なぜそれに応えられないのか。

特定非営利活動法人ジャパン・フィルムコミッションが発表した「日本国内におけるロケ撮影の現状と課題」内では、その問題に対する6つの課題が挙げられています。一緒に見てみましょう。

6つの課題とは?

さて、下記が「日本へロケ撮影を誘致する」ための6つの課題です。(説明文は要約しています。)

①撮影環境整備
・・・現状:撮影するまでの手続きが複雑、窓口が一元化されていないetc.

②人材育成
・・・現状:外国語や海外の商習慣に対応できるスタッフの少なさetc.


③法的な課題

・・・現状:ビザの問題(現在、映像制作のための滞在ビザが無い) etc.


④インセンティブ

・・・現状:補助金・助成金のミスマッチなどの問題etc.


⑤プロモーション不足

・・・現状:誘致のためのプロモーションが足りていないetc.


⑥コンテンツの活用が難しい

・・・現状:契約上日本で活用できないetc.

参考:「日本国内におけるロケ撮影の現状と課題」

経験値と資金、両方の不足による悪循環を感じてしまいます。誘致の主体となり得る地方自治体などでは解決し難い問題ばかりなので、政府や映像業界との連携がこの問題解決への鍵となりそうです。

政府としては、2017年に「ロケ撮影の環境改善に関する連絡会議」を設置するなど、最新情報や成功事例のノウハウ共有を行うなど、ロケ誘致に対し積極的です。また、「知的財産推進計画2018」によれば、(ロケ撮影の環境改善について)「2018年度中には一定の結論を得る」とのこと。今年・来年あたりで大きな動きがあるかもしれませんね。
引き続き、動向をチェックしていきたいと思います。

まとめ

「日本が舞台なのに、撮影は海外」という映画が多いのが現状です。そこには「ロケを受け入れるための十分な準備ができていない」という原因があります。手続きの簡略化にはじまり、海外対応できる人材の育成や魅力的なインセンティブの用意など・・・。課題は多いですが、産官学民の連携によって、一つずつでも解決されていくことを期待したいですね。
インバウンドらぼ 編集メンバー J.M