2017年、訪日外国人観光客の総数は2,869万人でした。うち、約85%が中国・韓国をはじめとするアジア圏からの観光客であったことは皆さんご存知かと思います。

そんな状況の中で、観光庁が欧米豪をメインターゲットとしたプロモーションキャンペーン「Enjoy my Japan」を始めました。なぜ、欧米豪?どんな切り口なの?気になりますよね。キャンペーンの内容やその背景について調べてみました。

国際観光市場で大きな存在感を持つ欧・米・豪

 観光庁のホームページにこんなことが書かれていました。

2017年の訪日外国人旅行者数のエリア別内訳は、近隣のアジアが全体の85%を占め、所得水準が高く成熟した観光市場を擁する欧米豪諸国からの旅行者の割合は限られており、2020年訪日外国人旅行者4,000万人、訪日外国人旅行消費額8兆円の目標に向けて、更なる拡大の余地が存在します。

引用元: 観光庁ホームページ|Enjoy my Japanグローバルキャンペーンを始動!

旅行市場の大きさに対して、訪日旅行者数が少ない欧米豪にチャンスがあるという事ですね。2016年のデータになってしまいますが、世界の国際観光支出トップ10は以下の様になっています。参考までに見てみましょう。

 国際観光支出
(10万米ドル)
シェア人口
(100万人)
人口1人あたり
観光支出
(米ドル)
国際出発者
(10万人)
※日帰りも含む
中国261.121.41,383189135.1
アメリカ合衆国123.610.1323382
ドイツ79.86.583964
イギリス63.65.26697070.8
フランス40.53.365627
カナダ29.12.43680253.0
韓国26.62.25152022.4
イタリア252.06141162.6
オーストラリア24.92.0241,0269.9
香港(中国)24.22.073,28491.8

引用元: 国連世界観光機関(UNWTO)

中国はここでも1位。流石ですね。訪日外国人としては存在感があまり大きくない欧米豪ですが、国際観光市場においてはその存在感が大きいことがよくわかりますね。

また、欧米豪諸国の「人口1人あたりの観光支出」も高い水準にあることがわかります。インバウンド市場拡大の大きなチャンスがあるのは、確かなようですね。

特化よりも、多様化

観光庁のホームページでは、「Enjoy my Japan」の概要について下記の様に説明しています。

本キャンペーンは、欧米豪(欧州、北米、豪州)市場を中心に存在する「海外旅行には頻繁に行くが日本を旅行先として認知・意識していない層」をターゲットに、「日本が、誰もが楽しむことが出来る旅行目的地」であることを2020年に向けて複数年にわたり、アピールしていくものです。
引用元:観光庁ホームページ|Enjoy my Japanグローバルキャンペーンを始動!

「Enjoy my Japan」という新たなキャンペーンメッセージの下、従来の富士山、桜、寺社仏閣と いった典型的なイメージだけでなく、豊かな自然・アウトドアアクティビティ、日本食にとどまらない食の魅力、伝統芸術に加え世界から注目される現代アートなど豊かな日本の観光魅力 を7つのカテゴリーに分け、デジタル広告、キャンペーンウェブサイト(www.enjoymyjapan.jp)、 テレビ広告を通じて強力に発信していきます。
引用元:観光庁ホームページ|Enjoy my Japanグローバルキャンペーンを始動!

日本の従来のイメージとは違った側面をアピールするキャンペーンのようですね。国際観光を楽しむ土壌ができている欧米豪諸国に対して「日本にしか無いもの」をアピールするのではなく、「日本が、誰もが楽しむことが出来る」という事をアピールするというのが面白いです。

早速ですが、キャンペーンサイト(www.enjoymyjapan.jp)を見てみましょう。一見、海外リゾート地の紹介かと思ってしまいますが、れっきとした日本の観光地紹介という事に驚かされます。

上記引用内にもありますが、本キャンペーンでは7つのカテゴリで日本をアピールしています。

Tradition 伝統文化や歴史的遺跡・建築等を楽しむ
Cuisine 食事やお酒を楽しむ
City 大都市の刺激、エンターテイメントを楽しむ
Nature 豊かな自然を楽しむ
Art アートやデザインを楽しむ
Relaxation リゾートや宿泊施設での滞在を楽しむ
Outdoor アウトドアアクティビティを楽しむ
引用元:観光庁ホームページ|Enjoy my Japanグローバルキャンペーンを始動!

キャンペーン実施前に、ドイツ・イギリス・フランス・アメリカ・カナダ・オーストラリアの6か国で大規模なアンケートを実施し、旅行者たちが持つ「7つのパッション(興味関心)」を発見したそうです。

ついつい「コト消費」と一言でまとめてしまいたくなりますが、旅行者も十人十色の楽しみ方があるという事を再認識させられます。

サイト内には、一人一人に合わせたプロモーションムービーを作成してくれる機能があります。3回質問に答えると、その人に合わせたムービーが流れます。斬新!自分の観光シーンを具体的に想像できるのが良いですね。

すでにプロモーションムービーの再生回数も1000万回を超えているとのことで、好評なことが伺えます。今後の欧米豪諸国からの訪日観光客数の増加を期待できそうですね。

まとめ

 いかがでしたでしょうか?

2020年に向けて、欧米豪諸国からの呼び込みが重要な理由がお分かりいただけましたでしょうか。その対策として「日本にしか無いもの」をアピールするのではなく、「日本が誰でも楽しめる所」としてアピールしていくという所に驚かされました。しかも好評なようですからね。

訪日目的も多様化が進むほど、それぞれのサービスの品質の高さはより重視されるでしょう。日本国内に限らず、海外の観光地やレジャースポットも比較対象になってくるでしょうから、サービスの品質向上も継続して行う必要がありそうですね。

インバウンドらぼ 編集メンバー J.M