2016年3月30日に日本政府より策定された「明日の日本を支える観光ビジョン」において、東北の観光復興として、2020年に東北6県の外国人延べ宿泊者数を2015年実績の約3倍である150万人とする目標が定められています。
参照:明日の日本を支える観光ビジョン P11
そこで今回は、東北各県はどんなインバウンド対策を実践しているのか調べてみました。

青森県のインバウンド対策

2017年の外国人延べ宿泊者数は17,510人で東北地方2位の青森県では、北海道新幹線開業を契機に新たな観光エリアを構築しています。
参照:青函圏周遊ぐっとくる旅

また、2019年の5月には青森港にクイーン・エリザベス号が初寄港するなど、航路での来日も熱心に誘致しています。
参照:青森県プレスリリース:クルーズ客船「クイーン・エリザベス」が青森港に初入港します

農業ではりんごが有名な青森ですが、りんごの輸出も盛んに行われており、台湾をはじめとしたアジアでの知名度と人気はともに高いですが、2016年11月からはお土産便「A-FACTORY」販売店舗がオープンし、東・東南アジアからの観光客がりんごなどの農産物のお土産を購入し自国へ直送することが可能になりました。
参照:青森県プレスリリース:「A!Premium」を活用したお土産便の販売を開始します

秋田県のインバウンド対策

2017年の外国人延べ宿泊者数は5,990人で東北地方5位の秋田県は、2010年に韓国で人気を博したドラマ「アイリス」のロケ地となり一時は特需に沸きましたが、東日本大震災以降は伸び悩んでいる状況です。
現状も、秋田県公式サイト「美の国あきたネット」で2018年4月2日に「秋田県観光復興対策実施計画改定について」を発表し、これから秋田県の知名度を高めていく発展途上な状況となっています。
参照:秋田県観光復興対策実施計画改定について

しかし、秋田県の強みは「ファームステイ」プランを展開するなど他県とは差別化した観光事業に取り組んでいることです。実際にタイからの観光客の多くはファームステイのプランが主流となっています。
参照:美の国秋田・桃源郷をゆく

また、秋田県観光連盟内に「あきた旅のサポートセンター」及び「秋田バリアフリーツアーセンター」を設置し訪日外国人客や、障がい者、高齢者が安心して旅行できる「みんなにやさしい観光あきた」運動を県として推進しています。
参照:あきた旅のサポートセンター

岩手県のインバウンド対策

2017年の外国人延べ宿泊者数は13,930人で東北地方3位の岩手県では、「オール岩手でインバウンド大作戦!」として、外国人接客に対するおもてなしの心構えをゆるく表した「いわての10手」運動に取り組んでいます。
半裸のサムライ風男性のアイコンや、ブロークンイングリッシュでも話しかけてみよう、写真を縦横両方でとってあげようなど、ゆるい表現と簡単に実践できそうな内容が国内外で話題となっています。
参照:外国人おもてなしサイト「いわての10手」

山形県のインバウンド対策

2017年の外国人延べ宿泊者数は10,880人で東北地方4位の山形県ですが、吉村美栄子県知事は「2020年までに外国人観光客を30万人にする」という目標を掲げ、知事が率先してトップセールスの誘客プロモーションを行ったり、チャーター便の運航を増やすなどして積極的にインバウンド事業に取り組んでいます。
東北の中では4位ですが、2017年の受入延人数(外国人延べ宿泊者数+立寄者数※1)は震災前の198.6%、94,997人増となっており、勢いのある県です。
また、山形県は台湾、香港、中国の他、ASEANを重点地域と位置付けているのも特徴的です。
参照:平成29年全期外国人旅行者受入実績調査結果(速報値)
   山形県国際戦略の概要
※1 立寄者数:立寄27観光地へのアンケート調査(山形県インバウンド・国際交流推進課調べ)

宮城県のインバウンド対策

2017年の外国人延べ宿泊者数は19,850人で東北地方1位の宮城県ですが、石巻市で、訪日外国人客に対して無料SIMカード「ISHINOMAKI TRAVEL SIM」を期間限定・数量限定でサービス提供するなど、全国的にも珍しいインバウンド対策に取り組んでいます。「ISHINOMAKI TRAVEL SIM」は、インターネットを無料で利用できるだけでなく、地元の観光スポットや飲食店情報などを英語で紹介するアプリも使うことが出来ます。
参照:ISHINOMAKI TRAVEL SIM

また、東日本大震災の経験を生かし、地域DMOである、宮城インバウンドDMOは、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社と南宮城の訪日外国人旅行者誘客における危機対応能力強化などを目的とした地方創生包括協定を締結しました。
参照:あいおいニッセイ同和損保と地方創生包括協定を締結

福島県のインバウンド対策

2017年の外国人延べ宿泊者数は4,480人で東北地方6位の福島県は、原発事故の影響でインバウンド観光は伸び悩んでいます。 しかし、東北最南端で東京に近いという立地を生かし、関東の栃木県・茨城県と連携し、1都3県を結ぶ観光ルート「ダイヤモンドルート」を提案しています。
Diamond Route Japan 2018 : Fukushima, Tochigi, Ibaraki – The Ultimate Japanese Experience


動画の評価は高く、2018年1月にアップロードされた動画は2018年6月現在、460万再生を更新しています。
また、放射線濃度についてもWEBサイト福島復興ステーションで9か国語による県内市町村の現在の放射線量が確認できるようになっています。
参照:ふくしま復興ステーション

まとめ

こうして見ると各県特色のあるインバウンドの取り組みを行っていることが分かります。
交通手段も空路や鉄道利用のイメージが大きいですが、航路も活用するといった大きな取り組みや、「いわての10手」のようなきめ細やかな運動などさまざまありました。
また、東日本大震災の経験をもとに、訪日外国人客が災害に巻き込まれた時の対策を検討することなどは、東北だからこそのインバウンド対策だと思います。
訪日外国人客が年々増え続けていますので、有事の際に訪日外国人客にどう情報を提供して避難誘導するかは他の地方自治体の課題でもありますね。

インバウンドらぼ 編集メンバー M.H