通訳ガイドとは訪日外国人客に外国語で観光ガイドのサービスを行い、報酬を得る仕事ですが、アルバイトであっても「通訳案内士」の国家資格が必要でした。
訪日外国人客数は、年々増加しており平成29年は2,869万人に達しました。しかし、対する「通訳案内士」の資格取得者は全国で2万2,754人(平成29年4月1日※1)と極端に人材が不足しています。また、その合格率も低く平成29年度の試験では15.6%にとどまっています。
そこで政府は規制緩和を行い、今後も増える続ける見通しの訪日外国人客に対応するため「改正通訳案内士法」を平成30年1月4日に施行しました。

※1全国通訳案内士試験概要 <全国通訳案内士> より
https://www.jnto.go.jp/jpn/projects/visitor_support/interpreter_guide_exams/

「改正通訳案内士法」施行前の課題

「改正通訳案内士法」施行前の「通訳案内士」制度には、以下のような課題がありました。

・通訳案内士の人員不足
平成29年の訪日外国人客は2,869万人以上に対し、通訳案内士の資格取得者は全国で2万2,754人と通訳ガイドの人員が不足している
・通訳案内士の使用言語の偏り
資格取得者の7割は英語で取得しており、訪日外国人客の7割を締める中国・韓国・台湾・香港からの旅行者へ対応できる資格取得者が少ない
・通訳案内士の都市圏への偏り
東京在住の資格者だけで全体の3分の1、東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、京都、神戸で全体の3分の2と、地方在住の資格取得者が少ない


参考資料:通訳案内士制度の見直しについて
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/toushi/20161215/161215toushi01.pdf

「改正通訳案内士法」による変更点

規制緩和された「改正通訳案内士法」により、以下のように改正されました。

・報酬を得て訪日外国人客に対して外国語でガイドをする場合でも資格は不要となった
 ※ただし資格を持たない者が、資格の名称や類似名称を用いることは禁止
・国家資格の名称が「通訳案内士」から「全国通訳案内士」に変更された。
・試験科目に「通訳案内の実務」に関する項目を追加され、資格取得者に対しても知識を補うための研修を行う
・今後は「全国通訳案内士」は5年ごとの定期的な研修受講が義務付けられる
・一部地域のみで行っていた「地域通訳案内士制度」を全国で展開していく
・呼称が「地域通訳案内士」になり、これまでの「地域限定通訳案内士」と「地域特例通訳案内士」から統一の呼称になる。また、登録証の再発行も行う

参考:観光庁WEBサイト 通訳ガイド制度 改正通訳案内士法の概要
http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/tsuyaku.html

まとめ

規制緩和によって国家資格を取得していない人も通訳ガイドを行えるようになりました。外国語が堪能な人はその語学力と自分の得意分野を生かして通訳ガイドが出来るようになります。株式会社エイチ・アイ・エスの「Travee(トラビー) 」など、新事業として通訳ガイドの仲介ビジネスに参入する企業も出てきました。
訪日外国人客にとってまだ無名な地方都市への観光や、アニメや映画の聖地巡礼など各通訳ガイドの得意分野に特化した観光案内が出来るようになります。
まだ始まったばかりなので、これから課題が出てくると思いますが、質の高い通訳ガイドが増えインバウンドの市場規模がさらに大きくなることを期待しています。

インバウンドらぼ 編集メンバー M.H