訪日外国人観光客の消費は「モノ」消費から、自然景観鑑賞・歴史的建造物への訪問・アクティビティ体験といった「コト」消費へシフトしています。その流れの中で、地方の観光資源にも外国人の関心は高まっています。今回は、地方の取組として「インバウンドマーケット EXPO2018」内で2つ印象に残ったものがありましたのでご紹介します。

株式会社農協観光「農業」ツーリズム

JAグループの旅行会社である「株式会社農協観光」。JAグループの旅行業ノウハウとネットワークを活かした「訪日外国人誘客対策プラン」を提案しています。

大きく分けて「受入体制整備」と「プロモーション」2つの観点からプログラムを提案していました。

「受入体制整備」では、外国人観光客の趣向に合わせた旅行商品のプラン造成や、受入のための人材育成や研修会の開催、受入側の「場慣れ」にもなるモニターツアーなどを行います。また、「プロモーション」領域では、国内外の提携旅行会社へのセールスや、観光施設をはじめとする地域との連携支援、WEBサイトやSNSを活用したプロモ―ションを行うということです。

実績として、マレーシアの旅行会社や北海道の地方自治体・地域企業と協力して、2017年は1,200名(50団体)以上の送客があります。JR北海道と連携したプランでは、札幌駅から帯広駅まで特急スイーツラインを使い、途中駅周辺のご当地スイーツを提供するプランを実施。また、地方自治体や地方企業と連携したプランでは、スキー場や競馬場、温泉などを取り込み地方消費や地方の魅力発信に貢献をしています。

また、国内向けの旅行商品として農業体験をする「グリーン・ツーリズム」関連の商品も提供しており、「農村生活体験ツアー」「婚活」「教育旅行」「企業研修」など幅広い分野で農村との接点づくりに貢献しています。これらとインバウンド観光とのコラボレーションも期待できそうです。

「民泊」をはじめ、日本の文化や生活に関心を示す外国人が増えています。そういった状況の中で、JAグループならではのネットワークと「農業」への強さを生かした観光ツアーの拡充は、外国人観光客の関心を集めそうです。

株式会社 農協観光 公式サイト

三重県「忍者」ツーリズム

「伊賀忍者」に扮したスタッフが案内をしてくれた三重県のブース。三重県のブース内

「忍者」をめぐる動きは全国的に盛んで、2015年に全国の忍者関連の自治体、大学、観光協会、民間団体、事業所等が連携し「日本忍者協議会」が設立されました。また、今年に入って「忍者NINJA議員連盟」の設立や、エイベックス株式会社が日本忍者協議会と協力して取り組む「NINJA PROJECT」を通して、忍者エンタテインメント事業に取り組むことを発表しました。その他、各自治体や法人も「忍者」関連の取組を行っています。

伊賀でも忍者に関する動きは盛んです。2017年4月には、伊賀市が滋賀県甲賀市と共同で申請を行った「忍びの里 伊賀・甲賀 -リアル忍者を求めて-」が日本遺産に認定されました。また、同年8月には伊賀市・三重県・三重大学・日本航空による「忍びの里 伊賀 創生プロジェクト」が発足。そして2018年には三重大学大学院にて専門科目「忍者・忍術学」初の試験が実施されるなど、話題がつきません。

注目の高まる「忍者」。ブース内でも忍者関連のパンフレットやリーフレットが配布されていました。一般社団法人 伊賀上野観光協会が発行するパンフレットは、手裏剣を構えた忍者が目を引く表紙。中には「伊賀流忍者博物館」をはじめに伊賀の名所や文化がずらりと掲載されています。裏表紙には大阪・名古屋・京都・東京からの電車・バスでのアクセス方法が記載されています。日本の交通網は複雑なので、こういった気遣いは海外の方に反応が良さそうです。また、英語と中国語の2パターンが用意されていました。多言語化の対応も進んでいるようです。

興味深い取組みも聞くことができました。「忍びの里 伊賀」創生プロジェクトの一環として2017年に開催された「第1回 忍者トレイルランニングレース(主催:忍者トレイルランニングレース実行委員会)」です。レースのコンセプトは「駈けよ!忍者の里山 心・技・体の修行道」。忍者の修行体験を味わいながら、舗装されていない山道や林道を走るレースです。参加者は2日間で800名。エントリー者のリストを見る限りは外国人の参加者は見当たりませんでしたが、トレイルランは全世界的に楽しまれているスポーツなので、「忍者」×「トレイルラン」といったコラボレーションで海外からの注目が今後増えていきそうですね。

伊賀上野観光協会 公式サイト

第1回 忍者トレイルランニングレース 公式サイト

まとめ

いかがでしたでしょうか。地方の取組として「農業」と「忍者」に関わる取組を紹介しました。

「農業」は訪日旅行客からの関心が高まっている最中なので、どのようにツーリズムと結びつけるかは今後一つの課題となりそうでうね。「株式会社農協観光」の国内旅行で培ったノウハウとネットワークを生かした取組には今後も期待ができそうです。

「忍者」は古くから海外に強く浸透しているように思われますが、国や自治体を巻き込んだ大きな動きはここ数年で起こっている事がわかりました。伊賀では産官学民、それぞれの強みを生かした協力が進んでいます。「忍者トレイルランレース」のように、掛け算で新しい観光コンテンツが誕生していきそうな予感です。2018年は「NINJA Year」になるかも?期待です。

インバウンドらぼ編集メンバー J.M