先日開催されたインバウンドビジネス総合展2017で個人的に注目していたのが、多言語対応サービス(ツール)です。
様々な企業が独自のアプローチで多言語対応サービスを紹介していた中で一番目立っていたのが、発した声を他言語へと翻訳する小型の音声翻訳デバイス「ili(イリー)」です。国内テックベンチャーの株式会社ログバーが開発しました。
2017年1月31日に製品発表会が行われたばかりの新製品を実際に触り、サービスの概要や今後の動向についてヒアリングしてきたので、感想を含め記事にしたいと思います。

ili(イリー)について

iliの概要

iliはポケットに入るサイズと、インターネット接続が不要という点、そして最速で0.2秒の高速翻訳を特徴としています。まずは公式のプロモーション動画で確認してみましょう。

こちらの動画を見ると、旅行者が使うためのものだと分かりますね。すごく楽しい感じが伝わってきます。
実際に私も会場で試してみたのですが、手軽さとレスポンスの良さに驚きました。 ログバー代表取締役の吉田卓郎さんは、以前海外旅行に行った際、とあるお店で「お水をください」と伝えようとしたのですが伝わらず、ほしくもない別の食べ物を買うことになった経験から、このデバイスを開発しようと思い立ったそうです。
海外旅行に辞書や電子辞書などを持って行っても、コミュニケーションの場で辞書を取り出して調べるなんて不可能ですよね。また、スマホの翻訳アプリも高性能なものが色々と出てきていますが、肝心な時にネット接続ができなくて使えないなんてことが、海外では起こり得るのではないでしょうか。
そこでiliは海外旅行の用途に限定し、機能を極限までシンプルにすることで本当に使える翻訳デバイスを目指しています。シンプルにそぎ落とすことで本質を際立たせるところが、アップル製品に通じるところがありますね。iliは下記の4つの特徴と6つの機能を持っています。

ili画像
出典: iliホームページ プレスキット

4つの特徴

  • すぐに使える簡単操作
  • インターネット不要
  • 独自技術の瞬間翻訳
  • 旅行に特化した辞書

6つの機能

  • 翻訳エンジン「STREAM」
  • ダイナミックデュアルマイクロフォン(ノイズキャンセル効果を実現)
  • ヒューマンセンタードデザイン(人間中心設計で使い易さを追求)
  • クイックウェイクアップモード(素早い起動を実現)
  • スマートアンプ(クリアなサウンドを実現)
  • ナチュラルボイスライン設計(違和感のない音声の入出力を実現)

対応言語

  • 日本語
  • 英語
  • 中国語
  • 韓国語(2017年予定)

苦手なこと

  • 商談や交渉など
  • 業界用語や専門用語
  • 医療現場など
  • 長い文章・複雑な文章

出典:iliパンフレット

不得意なことを明確にしているところが潔いですね。誰もが使いやすいものを目指すと、多機能な代わりに複雑になりすぎて使い勝手の悪い製品になることが多々ありますよね。

iliのインバウンドビジネスへの活用

iliは非常に魅力的なデバイスですが、まずは法人向けとして2017年6月からサービスがスタートする予定です。個人で購入して使えるのはまだ少し先のようです。

法人向けサービスの概要

法人向けとして、訪日外国人旅行客と接するすべての業種をターゲットとしています。交通、レンタル、商業施設、旅行代理、アミューズメント、ホテル/旅館、自治体、民泊など。 各業種、企業ごとにカスタマイズできることが法人向けサービスの特徴です。

カスタマイズ

オリジナル辞書追加機能があり、使用頻度の高い固有名詞を登録可能です。また、入出力の言語の切り替えが可能です。これは本体に切り替えボタンがあるのではなく、専用の管理ソフトで設定を書き換える必要があります。さらに、翻訳ログデータの抽出が可能なので、使用頻度の高い単語から訪日外国人旅行客のニーズを探ったり、自社のサービス改善に役立てることができます。

導入事例

すでにこの法人契約について世界中の企業から問い合わせが来ているそうですが、日本ではすでに3社とパートナー契約を結んでいるそうです。
1社目はインバウンドビジネス総合展2017に共同で出店していたグローバルWi-Fiを手がけるビジョン。空港で海外旅行向けのモバイルルーターの貸し出しを行っている企業ですが、iliの空港での貸し出しを進めているそうです。
2社目はイオンモール。訪日外国人旅行客にiliを貸し出して、便利にショッピングを楽しんでもらうことを進めているそうです。商品名などを登録してカスタマイズしているそうです。
3社目は東京メトロ。駅員さんに持たせることを計画しているそうです。駅は訪日外国人旅行客が最も多い場所のひとつなので、駅員さんの強い味方になるのではないでしょうか。

料金

月額3,980円/ライセンス
1ライセンスにつき、音声翻訳デバイスiliを1台貸出

まとめ

いかがでしたか?先日のgoogle翻訳アプリの進化にも驚かされましたが、iliも画期的な翻訳デバイスになるのではないでしょうか。iliの魅力はターゲットや用途を思い切って限定して、使い勝手の良さを追求したことにあると思いました。多言語対応というと、どこまでの言語に対応するか、どこまでのクオリティを求めるか、悩ましいことが多々ありますが、このように割り切った対応が時として必要なのかもしれません。
今後ますます拡大していくであろうインバウンドビジネスにおいて、特化型のサービスやデバイスが出てくると思います。多言語対応に関わるものとして、今後も注目していきたいと思います。

参考: iliホームページ

インバウンドらぼ 編集メンバー Y.N