皆さん、最近スーパーなどで瀬戸内レモンのスナック菓子や酎ハイなどをよく見かけませんか?これは一般社団法人せとうち観光推進機構(瀬戸内DMO)が瀬戸内ブランドを推進してきた結果なのです。
DMOとは観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など当該地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人のことです。

今回は、現在の観光産業の背景からどのようにしてDMOが生まれたか学んでいきたいと思います。

観光産業の現状と問題点

近年インバウンド観光を地域創生のテーマとして掲げる地域が増えてきていると思いますが、まずは、観光産業全体の現状を把握しておきたいと思います。

外国人旅行消費(インバウンド消費)
2006年 1.3兆円
2013年 1.7兆円
2014年 2兆円
2015年 3.5兆円
※インバウンド消費については2020年には8兆円、2030年には15兆円を目標としています。

日本人国内旅行消費
2006年 26.2兆円
2013年 21.1兆円
2014年 18.5兆円
2015年 20.4兆円

出典: 観光庁「旅行・観光消費動向調査」を元に作成

訪日外国人観光客が急増し2020年の東京オリンピック開催がさらなる追い風として期待される中、確かにインバウンド消費は伸びていますが、現時点で割合としてはまだまだ小さく、日本人国内消費の大幅な落ち込みをカバーするまでには至っていません。国内観光全体としてはまだまだ低迷しているのが現状です。

その原因としては、好景気にあぐらをかいてきたつけがでてきているように思います。

国内観光が低迷している理由

  • 従来型のパッケージ旅行の割安感が薄れユーザーが離れた。
  • ユーザーのニーズの変化に対応するためのマーケティングをやってこなかった。
  • 他の観光地と差別化できるような観光商品・サービスを開発できていない。

インターネットの普及やLCCなど運輸業界の規制緩和で宿泊費や移動費が下がったことで、
これまでの格安パッケージ旅行の魅力が低下したのと同時に、インターネットから様々な情報や物を得られる現在において、観光地で入手・体験できる商品・サービスの質に消費者の興味関心が移ってきています。

これまで、地域の観光振興は自治体と観光協会が連携して推進してきましたが、うまくいかない例が続出しているようです。

行政や地域の観光協会主導ではうまくいかない理由

  • 公平性が邪魔をして、個別企業に特化した効果的なプロモーションが打てない。
  • 民間企業が地域全体のブランディングやプロモーションをやるにはコストが掛かりすぎるし、他の観光関連業者のメリットにもなってしまうので、自らのインセンティブが薄まってしまう。
  • ほとんどの自治体が財源を確保できない。

一企業のごとく「観光地を経営する」という視点に立ったときに、それを誰が担うのか?という問題があるようです。

「DMO」の 概要と事例

そこで、新しい官民連携のかたちDMOが注目されています。
DMOとはDestination Marketing Organizationと呼ばれ欧米で先行してつくられました。
DMOは観光地の観光振興でマーケティング機能を担うとともに地域の主体者をマネジメントしていく、行政と民間が一体となった組織です。(図表1)

日本版DMOの概念図

図表1 日本版DMOの概念図

日本政府も地域でのDMOの組織化に注目しており、「日本版DMO」の創設が提唱されました。
国土交通省観光庁では日本版DMOを下記のように定義しています。

日本版DMOは、地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人です。

出典: 観光庁ホームページ

また、国内の事例としては、下記のようなものがあります。

■株式会社南信州観光公社
日本型DMOの先駆的な組織であり、設立から十数年経ちなお評価に耐えられる組織の一つが長野県飯田市の南信州観光公社です。2001年に飯田市をはじめ1市4村及び10
企業・団体の出資を受けて体験型観光による南信州広域の地域振興を目指す組織として、設立された。
http://www.mstb.jp/

■一般社団法人豊岡観光イノベーション
兵庫県の北東部に位置し、日本海及び京都府に接する豊岡市は人口減社会における経済活性化の方策のひとつとして、観光産業の育成に取り組んできた。特にインバウンド需要の取り込みを掲げ、2016年6月に一般社団法人豊岡観光イノベーションを設立した。交通事業者や金融機関が参画し、事業本部長には商社出身者を招聘。民間の力を最大限に活かして、顧客視点のマーケティングを推進していく。
https://toyooka-tourism.com/

■一般社団法人せとうち観光推進機構(瀬戸内DMO)
観光地ブランドを形成するうえで、広域で独自性のある観光地を周遊できるということは一つの魅力となりえる。瀬戸内では岡山・広島・山口・兵庫・愛媛・香川・徳島の7県自治体が協定を結び「瀬戸内ブランド推進連合」を設立し、7県にまたがる広域のDMOを設立した。直近で特に注目されているDMO。
http://setouchitourism.or.jp/

まとめ

今回色々と調べてみて、観光振興においては、まずしっかりとした推進組織をつくることから始めることが重要で、まさにDMOがその役割を担う存在であると理解できました。
政府の方針どおり、DMOがしっかりとした地域のマーケティングプランをつくり、より魅力のある観光商品・サービスを開発して広く情報発信することで、訪日外国人を含めて観光客を呼び込んでいけることを期待します。
しかし、補助金狙いの名ばかりのDMOも横行しているようで、現場ではDMOで活躍できるマーケティング・マネジメント能力のある本物の人材が求められています(政府も人材育成に力を入れていくようです)。私もマーケティング・プロモーションに関わる一人としてさらなる知識をつけていきたいと思います。

参考: 観光庁「観光地域づくり人材育成支援」

インバウンドらぼ 編集部メンバー Y.N