東京オリンピック開催も決まり、インバウンドに盛り上がる昨今ですが、連日メディアで取り上げられた「爆買い」も陰りを見せはじめ、外国人観光客による消費傾向は新たな形へと移行しつつあるようです。
今日は、ロシアに居住していた経験から、ロシア人にスポットを当てて彼らの消費傾向とその背景について考えてみたいと思います。

インバウンド消費におけるロシア人の消費単価

日本を訪れる外国人観光客は年々増え続け、2015年には過去最高の1,973万7千人を記録。
今や外国人観光客は日本経済の鍵を握る大きな存在になりました。
観光庁は東京オリンピックが開催される2020年までに、訪日外国人の数を倍の4,000万人まで伸ばすとの目標を掲げています。
観光庁の発表した「平成27年 訪日外国人動向調査」によると、昨年、最も多く来日したのは中国人で、その数は約500万人に上ります。
いわゆる「爆買い」が減少傾向にあるとはいえ、一人あたりの消費額は断然トップです。
今後も中国が主要なターゲットであることは揺るぎそうにありません。

しかしそれ以上に注目したいのが、ロシア人のデータです。

■2015年 国別購入者単価

順位 国名 金額(円)
1 中国 250,601
2 スペイン 230,513
3 ベトナム 189,045
4 ロシア 175,541
20 韓国 87,336

出典: 観光庁 平成27年 訪日外国人動向調査を元に作成

観光客の総数は年間を通して約5万5千人と中国や韓国に遠く及ばないものの、一人あたりの消費額は約17万5千円と、主な調査対象となった20カ国中第5位につけています。
何よりも着目すべきはその内訳です。
中国人などが目当てのジャンルに偏った消費を行う傾向にある一方で、ロシア人は食品、衣料品、化粧品、電気製品、医薬品、書籍類etc…と買い物のジャンルが幅広いのです。
このような消費傾向をここでは「コンプリート的な買い物」略して「コンプリ買い」と呼ぶことにしましょう。

これらのデータの背景について、少し考察してみたいと思います。

ロシア人が「コンプリ買い」をする理由

近年、ロシアにおける原油価格下落などに起因するルーブル安の影響で、ロシア人が日本を旅行するハードルは数年前よりも高くなりました。
そもそも貧富の差が激しく海外旅行に出費できる層が限られる中で、日本旅行を実現させる人の多くが中産階級以上の高所得層であることや、来日時の平均泊数が25日間と長期であることからも、一人あたりの消費額が高額になるのは必然と言えます。
また、ロシアではメイドインジャパンへの信頼が非常に厚く(留学中、道端でコー○ックの用法を翻訳させられたことも…)現地で売買される高額な日本製品に一定の需要があることから推測するにロシア人の訪日の目的は、さまざまな日用品を現地価格でまとめ買いすることにあるように思います。

ロシア人は一度日本を訪れると、旅行にしてはかなりの長い期間を滞在し、国内を長距離移動しながら、連日にわたってあらゆる領域に出費するということですね。

おわりに

インターネットが一般に普及し始めた2000年以降、ロシアでは日本の映画や食といった文化に触れる機会が増え、日本ブームが一気に進みました。
街中の寿司屋はロシア料理店をはるかに凌ぐ店舗数を誇り、日本人と知ると急にフレンドリーになるロシア人も少なくありません。
そんな親日国家を、今後のインバウンドのターゲットにしない手はないのではないでしょうか。
2015年、日本を訪れたロシア人は中国人の100分の1程度にとどまりました。
裏を返せば、ロシアには日本経済を回す見込み客が大勢控えているということです。
「コンプリ買い」傾向の強い彼らをより多く日本に呼び込むことで、各業界の景気が盛り上がると言えそうです。

参考: 観光庁ホームページ

インバウンドらぼ 編集部メンバー S.T